わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
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島根県内の介護・福祉事業者を対象にした調査で、介護職員の月額賃金(2010年)が、県内全業種平均に比べ男性で約9万円、女性で約4万円低いという結果が明らかになった。島根労働局が11日、松江市であった福祉・介護人材確保対策ネットワーク会議で報告した。
介護・福祉分野の低賃金を示す結果で、同局職業安定課は「特に介護職員の賃金が他業種より低い。待遇改善を訴える指標にする」としている。
介護福祉士など福祉施設の介護職員の月額賃金の平均は、男性が20万1千円で女性が16万7千円。全業種の平均(男性29万6千円、女性20万6千円)と比べ、それぞれ9万5千円、3万9千円低かった。
同様にケアマネジャーは男性25万9千円、女性25万5千円。男性は3万7千円低く、女性は4万9千円高かった。
国が毎年行う賃金構造基本統計調査を基に、同課が県内の事業者15社(862人)を抽出し、初めてまとめた。
中国新聞