社会保障審議会の介護保険部会は、介護保険の給付の在り方などをテーマに意見を交換した。この内容は、掃除や調理といった訪問介護での生活支援など、要支援1・2や要介護度1に認定された「軽度者」へのサービスに対する保険給付は維持すべきとする意見が続出した。
23日には、厚生労働省側が▽「軽度者」へのサービスを現行通り保険給付するか、それとも保険給付は、要介護度4や5といった「重度者」に特化するか▽訪問看護と介護の連携の促進▽24時間地域巡回型訪問サービスの創設▽レスパイトケア(介護者が日常的なケアから一時的に離れ、休息するための制度やサービス)の拡充―などを論点に挙げた。
このうち、「軽度者」への保険給付に関しては、「介護保険にも『選択と集中』の考え方が必要なのではないか」(小林剛・全国健康保険協会理事長)など、見直しを検討すべきとする意見も出たが、「国民は軽度から保険を利用できることを支持している。その利用が抑制されると、(介護保険制度は)第二の後期高齢者医療制度になりかねない」(齊藤秀樹・全国老人クラブ連合会理事)、「(保険が利用できなくなれば)介護のプロではない人が軽度者をケアする機会が増える。そうなれば、かえって重度化してしまう」(木間昭子・高齢社会をよくする女性の会理事)など、維持すべきとする意見が大半を占めた。
また、24時間地域巡回型訪問サービスに対する評価については、「24時間とはいえ、短い時間だけ滞在し、ケアをする巡回型では、認知症の患者を守ることはできない」(勝田登志子・認知症の人と家族の会副代表理事)、「(24時間地域巡回型訪問サービスと同様のスタイルで)実績を上げている事業所もある。短時間の巡回は、必ずしも認知症のケアによくないとは言えないのではないか」(井部俊子・日本看護協会副会長)と、委員の間でも意見が分かれた。
Top > 介護福祉士のための介護NEWS > 【介護福祉士NEWS】「軽度者」への保険給付、維持論が続出―介護保険部会