日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、同社が開発した経口の直接トロンビン阻害剤「プラザキサカプセル」(一般名:ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩)が1月21日付で、日本において「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」の適応で承認されたと発表した。
同薬は日本で約半世紀ぶりに、心房細動患者における脳卒中発症抑制の適応で承認された、革新性の高い経口抗凝固薬。
脳卒中は日本で3大死亡原因のひとつで重大な健康問題であり、そのうちの6割が脳梗塞と言われている。「プラザキサ」が発症を抑制する心原性脳塞栓症は脳梗塞の中で約3割を占め、とりわけ、左心房で形成された血栓が脳動脈の比較的太い血管に詰まるため、脳の広い範囲が急速に虚血状態におちいりやすいという特徴がある。従って予後が悪化しやすく、心原性脳塞栓症患者では発症後1年以内に約半数が死亡するとの疫学調査結果も報告されている。
一方、心房細動は心原性脳塞栓症の最も大きな原因の1つであり、心原性脳塞栓症を発症した患者の約7割が心房細動を合併していたとの報告もある。従って心房細動患者において心原性脳塞栓症予防が重要であることは広く知られている。
日本で心房細動患者数は、検診時に確認できるだけで83万人と推定されており、発症頻度は加齢に伴い増加する。心房細動患者での脳卒中予防は、患者の予後を改善するのみならず、医療および社会的負荷を軽減する上でも重要性が高い。脳卒中の発症抑制は、いまだその医療ニーズが十分に満たされていない領域。このニーズに応える新たな治療選択肢としての高い期待を受け、同薬は申請からわずか10ヵ月での迅速な承認となった。
プラザキサは、通常の投与量(1回150mg1日2回経口投与)で、従来の標準治療薬であるワルファリンよりも、脳卒中および全身性塞栓症の発症リスクを有意に低下させると同時に、頭蓋内出血の発現リスクをも有意に低下させました。またPT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)の定期的なモニタリングとそれに応じた用量調節を必要としないなど、数々の優れた特徴がある。
同社取締役(医薬開発本部長)のDr.トーマス・クーナー氏は、「新たな治療薬の早急な登場が望まれている現況に鑑み、審査が迅速に行われ、プラザキサは早期に承認されたと理解しています。プラザキサが適正に使用されることで、心房細動患者での脳卒中発症を1例でも多く防げるよう、我われは医薬情報提供活動に最善を尽くし、医師および医療を担う方々をサポートする所存です」とコメントした。
【製品概要】
■販売名:プラザキサカプセル75mg、プラザキサカプセル110mg
■一般名:ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(JAN)
■効能・効果:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
■用法・用量:通常、成人にはダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口投与する。なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回投与へ減量すること
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