日本認知症学会の学術集会が11月5日、名古屋市内で始まり、同日午前には柳澤勝彦会長(国立長寿医療研究センター研究所副所長)が「アルツハイマー病の制圧をめざして」のテーマで講演。アルツハイマー病を制圧するには、老人斑を形成する繊維状のたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」が脳内に蓄積するのを阻止する薬剤の開発が喫緊の課題だとの認識を示した。
アルツハイマー病は、アミロイドβが脳内の特定の部位に蓄積し、認知機能を担う神経細胞の機能障害を起こして発症すると考えられているが、蓄積を防ぐ薬剤はまだ開発されていない。
柳澤氏は講演で、「わたしは、脳の中に溶けているアミロイドβがなぜ重合するのかや、なぜ特定の領域を好むのかを研究している。この点を解決できれば、蓄積を防ぐ薬剤を開発する上で情報提供できる」と述べた。
また、アルツハイマー病の発症予防にも言及した。米国内の研究では、アルツハイマー病変がある高齢者に高度な認知機能が維持されるケースがまれにあることが明らかになっているといい、柳澤氏は、子どものころから良質な教育を受けることで「認知予備機能」が高まり、これが発症を抑え込んでいる可能性があるとの見方を示した。
柳澤氏は、外傷やアルコールなど神経機能の阻害要因を遠ざけることが、発症の予防に重要な役割を果たすとも強調した。
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