事業仕分け第1、2弾と行政事業レビュー(省内仕分け)の結果が十分に反映されていない事業を再点検する政府の行政刷新会議(議長=菅直人首相)のワーキンググループは11月15日、地域支援事業の一部である「介護予防事業」について「再仕分け」を実施し、前回の仕分けと同様に「予算要求を縮減。縮減割合については判定不能」と結論付けた。
介護予防事業は2006年度から開始された。要介護認定で非該当と判定された高齢者のうち、要介護や要支援になる恐れがある「特定高齢者」の生活機能の維持や向上のための事業を実施することなどを市町村に義務付けており、市町村は介護保険事業計画の中で介護予防事業の計画を策定する。昨年11月に事業仕分けの対象となった時は、「予算を縮減する」としたが、その金額については厚労省側の説明が不十分として「判定不能」と結論付けられていた。その後、今年度当初予算で同事業は、前年度当初予算より約85億円減の176億3700万円が計上された。厚労省は来年度予算の概算要求で、今年度と同額を求めている。
財務省は「昨年の仕分けでは費用対効果の検証がない、とかなり指摘されたにもかかわらず、その検証も終わらないうちに、厚労省は『(介護予防事業に)参加する際の医師のチェックは不要』として、対象範囲を広げる制度見直しをしている」と指摘。評価者からも、「執行率を見ると176億円は要らない」「事業の対象者がはっきりしていない」などの批判が相次いだ。一方、厚労省側は、今年9月から10月にかけて実施した介護予防事業に対する調査の結果や、介護予防事業によって要介護認定率が低下した自治体の具体例などを示し、その有用性を主張した。
評価結果では、評価者12人のうち「予算を縮減する」が7人で最も多かった。このうち「半分まで削減」としたのは1人、「3分の1程度まで削減」が3人、「その他」が3人だった。これを受けて取りまとめ役の田村謙治・民主党衆院議員は、「前回同様、予算要求を縮減するが、縮減割合については判定不能」と改めて結論付けた。また、評価者の間から、「介護予防に明確に効果がある健康器具など、海外の事例を参考にしながら見直しをすべき」「第5期介護保険事業計画に合わせて根本的な再検討をすべき」とする意見が上がったことも紹介した。
再仕分け終了後、厚労省の小林正夫政務官は記者団に対し、介護予防事業によって要介護認定が減ったといったことを証明するのは極めて難しいとしながらも、「改めてその数字を証明できるように努力したい」と述べた。
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