わが国の高齢者介護は、1963年に老人福祉法が制定された以降、70年代の老人医療費の無料化、80年代の老人保健法の制定、90年代の福祉8法の改正・ゴールドプランの制定など、人口の急速な高齢化が進む中で、時代の要請に応えながら発展してきた。
2000年4月から実施された介護保険制度は、措置から契約への移行、選択と権利の保障、保健・医療・福祉サービスの一体的提供など、わが国の高齢者介護の歴史においても時代を画す改革であり、介護保険制度の導入によって高齢者介護のあり方は大きく変容しつつある。
わが国の平均寿命は世界でも最高水準となった。高齢期は今や誰もが迎えると言ってよい時代となっており、また、高齢者となってからの人生も長い。その長い高齢期をどのように過ごすのかは、個人にとっても社会にとっても極めて大きな課題となっている。
人生の最期まで、個人として尊重され、その人らしく暮らしていくことは誰もが望むものである。このことは、介護が必要となった場合でも同じである。
そうした思いに応えるためには、自分の人生を自分で決め、また、周囲からも個人として尊重される社会、すなわち、尊厳を保持して生活を送ることができる社会を構築していくことが必要である。また、高齢者介護においても、日常生活における身体的な自立の支援だけではなく、精神的な自立を維持し、高齢者自身が尊厳を保つことができるようなサービスが提供される必要がある。
介護保険は、高齢者が介護を必要とすることとなっても、自分の持てる力を活用して自立して生活することを支援する「自立支援」を目指すものであるが、その根底にあるのは「尊厳の保持」である。
今、私たちの直面する高齢者介護の課題をとりあげたい。
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介護施設と、介護現場へ就職を希望する外国人の仲立ちに取り組む宇都宮市のNPO法人「地球人ネット」(長谷川朋子理事長)による第1回「介護員養成研修2級課程修了式」が鹿沼市内で行われた。受講した外国人11人全員がホームヘルパー2級資格を取得、県内施設にとって外国人介護員受け入れのきっかけになると期待される。
11人の出身地はブラジル、中国、フィリピン、タイ、ペルー、エストニアで全員女性。
このうち中国出身の内匠鶴恵さん(48)=野木町=は、日本人の夫の両親を介護した経験を生かしたいと受講。130時間の講義、演習、実習を日本語でこなした。研修は日本人と外国人が共に働くことを見据え、日本人も受け入れた。内匠さんは専門用語の理解に苦労したが、講師や一緒に受講した9人の日本人に教えてもらい乗り切った。
内匠さんは「お年寄りを応援したい。近くの施設で働きたい」と意欲的。他の修了生は就職、ボランティア希望のほか、勉強を継続したいとする声もあるという。
同講座メーン会場の特別養護老人ホームさつき荘=鹿沼市=は、地球人ネットを介し4人の外国人が介護現場で働き、さらに今回の修了者1人を受け入れる予定。半田昇理事長は「介護の仕事において外国人(の資質)は日本人と全く変わらない」と話し、「不景気のため職員の不足感が薄れた面はあるものの、結婚を機に辞める人がいるなど慢性的な職員不足は否めない。高齢化が進めば将来的に必ず不足する。修了生が県内に散っていけば、ほかの施設も受け入れやすくなる」と施設のネットワーク化構想を語った。
同ネットの長谷川理事長は「外国人は皆まじめで、さらに勉強したいという人が多い。きめ細かく対応していきたい」と話した。
下野新聞