厚生労働省は11月19日の社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大教授)に、第5期介護保険事業計画期間(2012-14年度)の第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料が、全国平均で月額5200円程度になるとの試算を示した=図=。第4期(09-11年度)に比べ、上げ幅は1000円を超える。一方、基金の取り崩しや、高所得者や要支援高齢者の自己負担の2割への引き上げなどを実施すれば、保険料を軽減できるとした。
厚労省の試算によると、第4期の介護保険料が4160円となっているのは、介護給付費準備基金の取り崩しや介護従事者処遇改善臨時特例交付金での軽減効果によるもので、「『実力ベース』では4500円程度」(厚労省の担当者)という。これに高齢化の進展による自然増や、昨年度の第1次補正予算に盛り込まれた16万人分の介護基盤緊急整備の影響を加えると、第5期の介護保険料は5000円を超えるとしている。さらに、▽11年度で終了する介護職員処遇改善交付金に相当する2%強の介護報酬引き上げで100円程度▽グループホームの家賃助成など居宅サービスの充実で15円程度▽ユニット型個室の居住費を軽減する補足給付の上乗せで10円程度―がそれぞれ加わると、介護保険料は5200円程度にまで上昇するという。
一方で厚労省は、介護保険料の上昇を抑制するためのメニューを示した。それによると、財政安定化基金の取り崩しで150円程度、介護給付費準備基金の取り崩しで130円程度それぞれ抑えられるという。
また、利用者の自己負担を増やす案も示された。具体的には、▽第6段階の利用者の自己負担を2割に引き上げれば20円程度▽要支援高齢者の予防給付の自己負担を2割に引き上げれば20円程度▽居宅介護支援で月1000円の自己負担などを導入すれば20円程度▽補足給付の支給要件を厳格化すれば5円程度▽第4段階以上の利用者から多床室の室料として月5000円を徴収すれば10円程度―をそれぞれ軽減できるとした。
これらすべてを実現した場合、介護保険料は4845円程度に抑えられ、引き上げ幅は約3分の2にとどまる。
厚労省はこのほか、▽国費で公費負担割合を6割に引き上げた場合に7400億円程度▽介護職員処遇改善交付金を継続した場合に1900億円程度▽被保険者の範囲を30歳まで拡大した場合に670億円程度▽補足給付を公費負担化した場合に460億円程度―の国庫負担が必要になるとの試算も併せて提示した。
■「総報酬割」導入の場合、2号保険料に影響
また厚労省は、第2号被保険者(40-64歳)の介護保険料について、給与水準に応じて算定する「総報酬割」を3分の1、もしくは2分の1導入した場合の試算を示した。現行の「加入者割」と比べた月額の負担額は、▽協会けんぽで45-67円減▽健保組合で285-428円増▽共済組合で351-526円増▽船員保険で482-724円減―になるという。
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