新宿ヒロクリニック院長で、全国在宅療養支援診療所連絡会世話人の英裕雄氏は1月16日、全国訪問ボランティアナースの会キャンナスが主催するセミナー「あなたは食べられなくなったら胃ろうを造りますか?」で基調講演した。英氏は、要介護4や5の人のターミナルケアを在宅で実現するには家族介護が不可欠と強調した上で、「家族の介護力を評価し、胃ろうの造設を考えるべき」と訴えた。
英氏は、胃ろうの造設は延命効果が高い一方で、確実に介護の総量を増加させると指摘。「胃ろうを造設した人を在宅ケアする際、介護保険サービスだけでは対応できない。家族などによる私的な介護が期待できない人の場合は、帰る場所を失うことになる」と述べ、胃ろうを造設しようとする際は、本人の希望と同時に、家族の介護力を評価した上で判断する必要があると主張した。また、本人の明確な意思表示を尊重し、決断を下した後でも、多くの家族は「その選択でよかったのか」と自問し、悩み続けると指摘。「医療関係者や介護関係者は、そうした家族を精神面から支える必要がある」と述べた。
基調講演の後のパネルディスカッションでは、英氏やキャンナス代表の菅原由美氏、医療法人篠原湘南クリニックグループ理事長の篠原裕希氏、老・病・死を考える会世話人の尾崎雄氏らがパネリストとして参加。パネリストからは、万一の時、胃ろうを造設するかどうかの意思を明確にしておく必要性などを指摘する声が上がった。会場の参加者からは、「多くの人は胃ろうの長所と短所を知らない。正確な情報を広め、国民的な議論を深めるべき」「潜在看護師や潜在ヘルパーなどの人材を生かし、在宅でも胃ろうのケアを受けやすい体制を整えてほしい」といった意見が出た。
Top > 介護福祉士のための介護NEWS > 【介護福祉士 NEWS】胃ろうの造設「家族の介護力を評価して考えるべき」