介護者支援の必要性については、識者の間から「その不備が"介護殺人"を招いている」という指摘が出ている。こうした状況を受け政府は、6月18日に閣議決定した新成長戦略にレスパイトケア(家族の介護負担軽減)の拡充を盛り込むなど、支援のための制度づくりに乗り出した。ただ、「経済的な理由などからサービスを利用できない人も多い。介護者側を経済的・精神的に直接支援するシステムの構築が不可欠」(アラジン関係者)など、政府の対策を批判する声も上がっていた。
一方、民間では、支援のためのNPO法人が全国各地で発足するなど、介護者のニーズを把握し、サポートする活動が本格化している。また、アラジンなど先行して支援に取り組む団体には、「どうやって組織を立ち上げればよいのか分からない」「会をつくったが、どのように運営し、どんな活動をすればよいのか」といった質問が、全国から寄せられるようになったという。
介護者支援の機運が全国的に盛り上がり始めたことを受け、アラジンでは他の団体と協力し、「全国介護者支援ネットワーク」の設立を目指す準備会を立ち上げることを決めた。準備会では11月20日に第1回の情報交換会を開き、活動を進める上での課題などについて話し合う。アラジンの牧野史子理事長は、「情報交換会には、実際に活動している団体だけでなく、行政の担当者や、これから介護者支援の活動を始めようと考えている個人や団体も参加してほしい」と呼び掛けている。