東京都が主催する「認知症シンポジウム―若年性認知症を中心に―」が12月6日、都庁で開かれた。基調講演した和光病院(埼玉県和光市)院長の斎藤正彦氏は、男性患者が比較的多いなど、若年性認知症の特徴を紹介した上で、「特に中年以降、うつ状態となった場合には注意が必要」と訴えた。
斎藤氏は若年性認知症の特徴として、▽男性が多い▽脳血管性の認知症の中でも、皮質型・急性型が多く、徐々に発症する皮質下型は少ない▽頭部外傷後遺症などによる発症が比較的多い▽前頭側頭葉変性症は50―60歳代で発症のピークを迎える―などの特徴を示した。また、うつ病でも初期の若年性認知症患者とよく似た認知機能の低下が起こると指摘。「初期の認知症か、うつ病かを診断するのは難しい。どちらかの症状であると決め付けず、専門医の診断を受け、長期的な経過観察をするべき」と述べた。
基調講演後、産業医として活動する牧病院(松山市)院長の牧徳彦氏と、若年性認知症や高次脳機能障害の患者のためのデイサービスを運営するNPO法人いきいき福祉ネットワークセンター(目黒区)理事長の駒井由起子氏が活動報告を行った。牧氏は、若年性認知症患者の能力維持には、できるだけ仕事を続けることが望ましいが、その一方で、他の職員に与える影響も大きく、業務遂行の支障となることもはっきりしていると指摘。「(若年性認知症患者が)周囲の理解や協力を得ながら働き続けることができる職場環境を実現するためにも、企業に対する啓発活動や支援策が重要」と述べた。また駒井氏は、専門のコーディネーターを配置し、デイサービス機能を持つ若年性認知症総合支援施設の整備の必要性を訴えた。
この日は、若年性認知症患者の家族を交えたシンポジウムも行われた。出席した家族は、若年性認知症という診断結果を受け入れるまでに時間がかかった体験などを語った上で、「(駒井氏が運営するような施設が)全国各地にできれば、患者も家族も安心して暮らしていける」と述べた。
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