同協会は、「慢性期病態別診療報酬(試案)」に関する調査の一環として、今年10月、医療療養病床に入院する医療区分1の患者5150人を対象に、難治高血圧や低栄養、重度意識障害、中等度以上の感染症などの発症の有無について調査。2006年(対象患者2625人)や08年(同2841人)の同様の調査の結果と比較した。
感染症を発症した患者の割合は4.8%(06年)、5.7%(08年)と推移してきたが、今年は17.1%にまで増加。06年には3.0%だった重度意識障害(JCS30以上)の患者の割合も、今年は36.6%にまで急増した。難治高血圧を発症した患者の割合は0.4%(06年)、0.6%(08年)と1%未満で推移してきたが、今年は24.4%にまで増加。さらに、がんによってターミナルを迎える人の割合も、0.6%(06年、08年)から5.4%となった。
調査結果について、同日に記者会見した同協会慢性期病態別診療報酬試案検討委員会の池端幸彦委員長は、「そのほか、低栄養に陥る人なども増えている。医療療養病床の医療区分1の入院患者の症状は、明らかに重度化している」と指摘した。
■試案は「新たな制度を考える討論への捨て石」―武久会長
また池端委員長は、現行の医療区分に代わる慢性期病態区分とADL評価で構成されている「慢性期病態別診療報酬(試案)」について、「特に新たなADL区分については、従来の区分とほぼ同様の信頼度が担保できることが調査で明らかになった」などと指摘。今後は、他の病院団体にも協力を依頼し、試案についてさらに大規模な調査を進める方針を示した。同協会の武久洋三会長は、「この試案を完全に受け入れてくれなければ駄目、というつもりで作ったわけではない。新たな制度を考える討論のための捨て石として提示したつもり」と述べた。