特別養護老人ホーム(特養)の施設長有志でつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」は11月10日、「全国老人ホーム施設長アンケート」調査結果(速報)を発表した。それによると、特養の運営主体を「社会福祉法人に限定」が好ましいと考えている施設長が約5割いることが分かった。
調査は、今年8月末から9月末にかけて、全国の特養などの施設長7005人を対象に郵送で実施。有効回答は1638人で、このうち特養の施設長は1407人。
調査結果によると、現在、特養の運営主体として認められている「社会福祉法人に限定」とする回答が750人(45.8%)で最も多かった。次いで、6月に政府の「規制・制度改革に関する分科会」がまとめた第一次報告書で、特養運営への参入を可能にする方向で検討することが明記された「社会医療法人なら可」が221人(13.5%)。以下は、「非営利法人なら可」209人(12.8%)、「営利企業を含めて可」114人(7.0%)、「医療法人なら可」78人(4.8%)の順だった。
社会医療法人について、同連絡会の相羽孝昭代表幹事は、「もう少し(認める回答が)多くてもいいと思うが、制度自体が新しく、まだ認知されていないのではないか」と話している。
自由記述欄では、「介護は公的責任、公的制度によって支えることを堅持すべき」「利潤追求を目的とする法人などが第一種社会福祉事業の経営に参入すべきでない」などの意見が見られた。
■処遇改善交付金「介護報酬に組み入れを」6割
調査では、介護職員処遇改善交付金の今後の方向性に関しても尋ねた。その結果、「介護報酬に組み入れる」ことを望む人が977人(59.6%)と最多で、「公費補助として継続」の433人(26.4%)を大きく引き離した。「廃止する」は58人(3.5%)。
介護報酬への組み入れを望む理由としては、同交付金が介護従事者のみに補助されるため「現場に差別と分断の種を持ち込む」とする意見や、「(恒久的に給付される介護報酬と違い)一時的かつ暫定的な措置であり、将来展望が見えない」との回答などがあった。