老年医学の専門家である遠藤氏は、「次期法改正でも認知症対策はホットな話題だ」と、認知症研究の最前線について報告した。遠藤氏によると、現在アルツハイマー型認知症の治療薬は、国内でアリセプト(一般名:塩酸ドネペジル)しか承認されていないが、来年、アリセプト以外に3つの薬が認可される予定。
新薬の1つ、「メマンチン」をアリセプトと併用すると、現在3年程度遅延できるアルツハイマー型認知症の進行が、5年程度にまで引き伸ばせるという。そのほか「リバスチグミン」は、湿布のように貼るタイプなので、日付を書くこともでき、介護者が薬剤の使用状況を確認しやすいといった具体的な新薬の情報が伝えられ、参加者らは熱心にメモを取っていた。
また遠藤氏は、「アリセプトの特許が来年切れる。ジェネリック医薬品(後発医薬品)が出回れば、現在はコストが課題となって認可されていない老人保健施設での認知症治療薬の使用が実現できる」と述べ、安価な認知症治療薬の普及を示唆した。
さらに、アルツハイマー型認知症の新たな診断法としては、従来のCT、MRIや問診する神経心理といった検査以外に、特殊な薬剤を注射し、脳内のベータアミロイドの分布を画像化できる「アミロイドPET」と呼ばれる検査を紹介した。遠藤氏は「この検査では、脳の中で認知症の病変が出現しているのに行動には現れないといった、早期段階での診断ができる」とメリットをあげた。
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