厚生労働省の来年度予算案で、老健局は今年度当初予算比639億円(3.6%)増の1兆8424億円を計上した。他局分を含む老人保健福祉関係予算は990億円(4.5%)増の2兆2956億円。このうち、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」の実施や、介護職員による一部医療行為の実施に向けた研修事業など、「地域包括ケアの推進」には63億円を計上した。
老人保健福祉関係予算の主要項目はこのほか、▽地域における介護基盤の整備(63億円)▽安定的な介護保険制度の運営(2兆2679億円)―など。
「地域包括ケアの推進」では、概算要求で「特別枠」として128億円を要望していた「24時間地域巡回型訪問サービス・家族介護者支援(レスパイトケア)等推進事業」が、政府の評価会議でC判定になったことなどを踏まえ、27億円と大幅減額になった。このうち、全国8000床分の基盤整備費として100億円を要望していた「お泊まりデイサービス」は、利用者の宿泊ニーズなどの調査研究費として10億円を目安に計上。また、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」の推進に向け、60か所の事業所を整備する経費を、12億円を目安として盛り込んだ。
さらに、特別養護老人ホーム(特養)や障害者(児)施設、在宅などで、たん吸引などを実施できる介護職員を養成する研修事業に9億円、市民後見人の養成支援や認知症コーディネーターの地域包括支援センターへの配置などに27億円をそれぞれ計上した。
「地域における介護基盤の整備」では、都市型軽費老人ホームの整備経費など「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(ハード交付金)」に50億円を計上した。
また、低所得者への配慮施策として13億円を計上した。社会福祉法人による利用者負担軽減制度を拡充。生活保護受給者がユニット型特養に入所する場合の居住費相当の自己負担額を軽減の対象に加えた。
このほか、介護保険サービスの利用状況などを分析し、制度の見直しなどに活用するデータベースを構築する事業に4000万円を、2012年度介護報酬改定に伴うシステムの改修経費に30億円を、都道府県や保険者が実施する介護給付費適正化関連事業の推進経費に9000万円などをそれぞれ充てている。
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