日本在宅介護協会(在宅協)東京支部は1月19日、「新春トップセミナー」を開いた。この中で、2012年度の創設が検討されている「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」について、厚生労働省の担当者が事業者に協力を求める一方で、東京都の担当者は同サービスの在り方に疑問を呈した。
同サービスは、単身・重度の要介護者の在宅生活の継続を目指し、短時間の定期訪問や随時対応といったサービスを提供するもの。12年度の創設に向け、24日召集の通常国会に提出される介護保険法改正案に盛り込まれる予定だ。また来年度予算案には、同サービスの全国60市区町村でのモデル事業の実施経費として12億円が計上されている。
この日のセミナーで登壇した厚労省老健局振興課の川又竹男課長は、同サービスについて、「市町村と相談の上、やってみようと思うところは手を挙げていただきたい」「来年度のモデル事業でどんな成果を出せるかが非常に重要」と、事業者らに協力を呼び掛けた。また、包括定額報酬の導入を含めた検討が行われている12年度以降の介護報酬の在り方については、「今年議論する中で、報酬体系をどう構成していくかが大きなテーマになる」とした。
一方、「東京の地域包括ケア」をテーマに講演した都福祉保健局高齢社会対策部の狩野信夫部長は、同サービスについて「建前では単身・重度の要介護者にも対応するサービスと言っているが、結局は家族介護がある前提で制度設計しているのではないか」と批判。朝や夕方の時間帯は、食事など多くの種類の介護が必要だとして、「短時間・細切れ型のサービスで(利用者の生活を)担保できるのか疑問」と述べた。
また、同サービスの介護報酬について、「高くなり過ぎると、通所介護やショートステイなどが(区分支給限度額の範囲内で)利用できなくなる」と指摘。さらに、「訪問系サービスだけで24時間365日生活を続けることが、高齢者のその人らしい生活を保証することになるのか」と疑問を呈した。
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